植物が水を吸い上げる力には限界がある
建物の壁に植物を這わせて日光を遮る壁面緑化はヒートアイランド現象の抑止効果が期待されています。都市部で急速に普及していますが、植物が持つ水を吸い上げる力に影響されるため、すべての建物で実施できるわけではありません。茎が長く伸びすぎると水を吸う力は弱くなり、その植物は枯れてしまいます。壁面緑化に適した品種は茎が細い物が多いので給水量も少なく、枯れるリスクが高いのは否定できません。壁面緑化に適した建物の高さは四階建てから五階建て程度で、約30メートルが上限とされています。
人工の土壌で壁面緑化を上に伸ばす方法と注意点
高層ビルで壁面緑化を行う場合、路地植え以外の方法で植物を育てるのが効果的です。一定の高さごとにプランターなど人工の土壌を用意し、そこに植え付けを行うことでより高い位置まで伸ばすことができます。理論上は高さに上限が無くなるのでどのような建物でも壁面緑化が可能になりますが、位置が高くなるほど気温が下がり、風が強くなるので植物を育てるには不向きです。高所から土や植物の枝が落下すると重大な事故を起こすおそれもあるので、高層ビルで壁面緑化を行う際は安全管理の徹底を忘れてはいけません。
配管や配線設備への影響に注意する
壁面緑化で多いトラブルとして、伸びすぎた枝や蔓による設備の破損が挙げられます。日光を遮るには遮へい物が多い方が良いイメージがありますが、建物の壁にある配管や配線の設備に枝や蔓が接触するとその部分が急速に傷みます。水分や様々な成分が設備を腐食させるので、建物の安全性を保つにはこまめな剪定が欠かせません。高層ビルの上層階では剪定も非常に手間がかかる作業なので、長く伸びすぎない品種を用いるなどの工夫が求められます。
壁を植物で覆う壁面緑化は日光を遮り、室温の急激な上昇を防ぐ方法として注目されています。植物が水を吸い上げる力や成長のスピードを考慮すると、四階から五階建ての高さが緑化作業に適した上限です。